2016年06月17日

D.フィンチャーも絶賛のイギリスドラマ「ユートピア」は必見

現在、日本で放送されている海外ドラマは地上波、ケーブル、VOD、ネット配信等を含めると優に1000本(同タイトル、シリーズを別カウント)を越えている。中でも多いのがアメリカ発の作品だ。タイトルを挙げるとキリがないほどの作品が並び、気軽に視聴できるメリットはあるものの、半面どの作品が面白いのか、自分の嗜好に合った作品なのか、シリーズの途中から放送している等、作品チョイスに苦労するのもまた事実だろう。

そんな海外ドラマで数年前から脚光を浴びているのが欧州発作品であり、特にイギリスは昔から「シャーロック・ホームズの冒険」「名探偵ポアロ」「ミス・マープル」といった良質なミステリー、「Mr.ビーン」のようなブラックジョークありのコメディ作品等を生み出してきた。そして人気に一気に火をつけたのが、2010年に放送が始まった「SHERLOCK」(2010年〜・シーズン3まで放送済)、「ダウントン・アビー」(2010〜2015年・シーズン6で完結)の2本。その後も「ホロウクラウン シーズン2/嘆きの王冠」(2012〜2016年・シーズン2まで)、「ブロードチャーチ〜殺意の町〜」(2013〜2015年・シーズン2まで)、「トンネル〜国境に落ちた血」(2013〜2016年・シーズン2まで)、「ゾンビ・アット・ホーム」(2013〜2014年・シーズン2まで)、「マスケティアーズ/三銃士」(2014〜2016年・シーズン3まで)といった作品を次々と世に放っている。

この人気について、海外ドラマの宣伝マンに話を聞くと、「ヒットの1つの理由として、歴史の浅いアメリカではイギリスへの憧れ、特に階級文化残る1900年前後への憧れが非常に強く、興味・関心が高いジャンルであるとのことですクワンティコ DVD。欧州系の作品は見る者の感性によって感じ方が違ってくるような曖昧な余韻を残す作品が多い傾向にあります。万人が同様に感動できる分かりやすさが第一のアメリカ作品に対し、欧州作品はアーティスティックで見る者の感性に訴えかけるようなところがあると思います」ということだった。

確かにアメリカとイギリス、言語は共通(発音の違いはある)しているが、その制作現場は全く異なる。近年、アメリカのテレビドラマはシーズンを継続させることが第一で制作されることに対し、イギリスドラマはまず作品全体のストーリーがあって、より良いドラマにするためにおしりをどこにするかを決めて組み立てる、ということが多いそうだマイライフ シーズン2。アメリカではヒットしなければたとえシーズン1の途上であっても即打ち切りなどといったことが日常茶飯事であり、感性に訴えたり曖昧な余韻の残るような作品ではその対象になってしまうのだろう。またイギリスがもてはやされている理由は映画にも見られる。これまでハリウッド映画黄金期でイギリス人俳優が主演を務めることはまずなかった。脇役、悪役に甘んじていた立場が、この5年くらいで一気に主演を務める作品が増えているのだ。

そんなイギリスドラマで今見ておきたい作品がある。それが「ユートピア」だ。本国では2013年から放送され、シーズン2で完結している。アメリカ最大ケーブル局HBOでリメイクも決まっているという本作は、日本ではHuluで配信され、既にBD&DVDもリリース済みだ。

「何といっても画面全体の色使い、美しさに惹かれました。トレーラーを見て、購入を決めたのですが、ポイントもそこですね。ビルから人が落ちてくるスロモーションのシーン、間に挟まるウサギ、画面に配色された赤色等、全てに絵の力を感じました。『パンズ・ラビリンス』(2006年)に似た印象でしょうか。シェトランド シーズン2実在の物語とうまくリンクしたストーリーや個性的なキャラクターたちも面白さの1つですね。あとは重ねてになりますが、色や壁、服のボタンなど細かくこだわりが隠されていることに2回、3回と何度も見ても新しい発見があることです」と本作をイギリスから買い付けたバイヤーは熱く語る。

米リメイク版の監督に自ら名乗り出たデヴィッド・フィンチャー(諸事情により降板している)も「世界観が大好きで、特に登場人物たちが気に入っている。デニス・ケリー(制作総指揮・企画・脚本)のオタクに対する誠実さと親近感が大好きだ」と絶賛するように、アメリカ作品とは異なる感性が見られる。独特の色彩感覚に美しい映像、衣装や美術セットにもこだわりがあり、また痛さを感じさせるバイオレンスシーンもありながらその映像の切り取り方が実に見事なのだ。

キャストを見ても、日本で知名度がとりわけ高い俳優陣が出演しているわけではないが、彼らの演技にすっと引き込まれ、良い意味で見る者を裏切ってくれる。

さらに、シーズン1、2共に6話構成でコンパクトにまとまっているところも嬉しい。BDやDVDで一気見しても全12話(1話約50分)で完結、ロングシリーズの作品を見るのが苦痛な方にもぴったりだ。

予測不能な展開が世界中を熱狂させた新感覚サスペンスミステリー「ユートピア」はイギリスドラマが好きな方にも、これからイギリスドラマを見始めようとする方にもおすすめできる一本であることは間違いない。【東京ウォーカー】

■あらすじ/20世紀に起きる地球上の大災害を予言してるとされるカルトコミック「ユートピア」。極秘で描かれたとされる、その続編の原稿を手に入れたコミック愛好家5人組が次々と謎の組織ネットワークの殺し屋に追われ始めるのだった。この「ユートピア」は誰が何の目的で描いたのか?ネットワークとはどんな組織なのか?訳も分からないまま逃亡生活を始める彼らが辿り着くのは。



Posted by achile at 15:43│Comments(0)
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